アルギニン (arginine) は天然に存在するアミノ酸のひとつ。2-アミノ-5-グアニジノペンタン酸(2-アミノ-5-グアニジノ吉草酸)のこと。略号は R あるいは Arg。英語発音に基づき、アージニンともいう。非必須アミノ酸。

性質

荷電極性側鎖アミノ酸。塩基性アミノ酸の一種で、蛋白質を構成するアミノ酸としては最も塩基性が高い。

非必須アミノ酸ではあるが、成長期には摂取が必要。糖原性を持つ。

尿素回路の中間体であり、投与によりアンモニアの生体内解毒を助ける。尿素回路内で、アルギナーゼ (EC 3.5.3.1) によりオルニチンと尿素に分解される。アルギナーゼの欠損により高アルギニン血症になる。

条件付必須アミノ酸の1つ。外傷・褥瘡・感染などの侵襲下においては、充分な補給が望ましいとされる。免疫反応の活性化、細胞増殖を促進し、コラーゲン生成促進などにより、創傷や褥瘡の治癒を促す。

存在

ヒストンやプロタミンといった、核蛋白質での含量が高く、魚類プロタミンでは全体の3分の2がアルギニンになっている。食物では、肉類、ナッツ、大豆、玄米、レーズン、エビ、牛乳などに多く含まれる。

生合成

クエン酸回路のケトグルタル酸からアルギニンの生合成が始まる。ケトグルタル酸からグルタミン酸が合成され、N-アセチルグルタメートに変換され、この物質がN-アセチルグルタメートキナーゼによりN-アセチルグルタメートリン酸へと変換される。次に、N-アセチルグルタメートリン酸はオルニチンに変換され、オルニチントランスカルバミラーゼによりシトルリンに変換された後、アルギニンとなる。 アルギニンは体内での代謝過程で一酸化窒素(NO)を産生する。NOが産生されると血管は拡張し、血液循環を促進する。NO産生による血流改善により、動脈硬化の予防・改善、神経系・免疫系への作用が示唆されている。

安全性

比較的安全な物質と考えられる。

NOAEL
動物 経口 3,131 mg/kg bw/day
OSL (Observed Safety Level)
ヒト 経口 20g/day

出典

関連項目

  • アミノ酸発酵
  • アルギニン負荷試験
  • リシン
  • グアニジン
  • クレアチン
  • シトルリン

外部リンク

  • アルギニン - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)

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