鳥居 引拙(とりい いんせつ、生没年不詳)は、戦国時代の茶人。村田珠光の弟子。屋号は天王寺屋。俗説として珠光の次男という説もあるが、信憑性に乏しい。

生涯

堺の豪商で、山上宗二から「珠光に次ぐ名人」とまで呼ばれたほどの茶人。『山上宗二記』においては村田珠光、武野紹鴎と並び「古今の名人」と紹介されている。ただし、史料に乏しくその経歴は不明な点が多い。

主な所持茶器として、「楢柴肩衝」、「蕪なしの花入れ」などがある。また、彼の名を冠した「引拙茶碗」と呼ばれる茶器もある。引拙所有の茶器は「引拙名物」と呼ばれ、三十種類あったとされる(その多くは後に豊臣秀吉の所有物となった)。前述の引拙名物の他には、千種の茶釜、侘助肩衝、緑桶水指、大霞猿釜、松本茄子、胡桃口柄杓立などが存在する。

引拙は、茶道具の中でも特に水指棚を好んだ。引拙が使用した水指棚は「引拙棚」と呼ばれ、のちに武野紹鴎がこれを改良して袋棚を作ったと伝わる。

没年については、『山上宗二記』には70歳で死去したと書かれている。

脚注

参考文献

  • 桑田忠親『茶道の歴史』、講談社(講談社学術文庫)、1979年 ISBN 4-06-158453-7
  • 桑田忠親『茶器と懐石』、講談社(講談社学術文庫)、1980年 ISBN 4-06-158499-5
  • 安田元久『鎌倉・室町人名事典』(新人物往来社)、ISBN 978-4-404-01757-4 430頁
  • 雄山閣『図解 茶道具事典』、ISBN 4-639-01328-0

外部リンク

  • デジタル版 日本人名大辞典 Plus『鳥居引拙』 - コトバンク

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